
人生バンザイ
僕は人の笑顔というものに慣れていない。 訝しげな視線やなにか得体の知れないものを見るような目には慣れっこだが、ニッコリ微笑まれるとどうも苦手だ。 今から騙しにかかるぞといわんばかりの企みの表...
人生バンザイ
僕は人の笑顔というものに慣れていない。 訝しげな視線やなにか得体の知れないものを見るような目には慣れっこだが、ニッコリ微笑まれるとどうも苦手だ。 今から騙しにかかるぞといわんばかりの企みの表...
中央線にて、立川から新宿方面に乗っている時。
太郎君が中央線にて、立川から新宿方面に乗っている時。 時刻は十九時前だった。 席はちょうど埋まっており、太郎君はドア前のバーを掴みながら電車に揺られていた。 隣に立つは大学生くらいの...
深夜の満員電車が趣味
田邊さんは仕事一筋の中年男性。スーツがよく似合う。 酒も煙草もやらない。 唯一の趣味は、深夜の満員電車だ。人が多ければ多いほど格好のシチュエーションだ。 痴漢をする訳ではない。 人を...
ベビーカー怖い怖い怖い
石見さんはベビーカーが苦手だった。 特に電車だ。うっかり乗り合わせてしまおうものなら、大体が嫌な思いをするという。 「平気で足にぶつけてくるし、いくらスペースをとろうと遠慮がない。それが当然だ...
標本
金子さんはその日終電間際の満員電車に揺られる最中、背中に針で刺されたような痛みが走ったという。 降車駅である西荻窪で降りると大学生らしき女の子が「スーツの背中に虫がついてます」と教えてくれた。 ...