なにか悲しい話一覧

いい人

 よくない知らせは突然だった。酒もタバコもやらない。おかしな薬も持病もない。  僕が知る限り、僕の周りでは限りなく頭も身体もまともなやつだった。ついでに一番巨根。  ICUから抜けたそいつはい...

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龍と人の化かし合い

 自分の男が飲めないからといって、人を愛の巣に呼びつけるのは止めて欲しい。  旦那不在の自宅でマリエちゃんはご機嫌に出来上がり、ようやく帰って来た家主は僕に「ただいま」を言うと早々に寝室へと消えてし...

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マッチポンプなロミオとジュリエット

 見える人は、見える(と主張する)人を疑ぐってかかる。  こちらからすれば、まとめて「自称霊感さん」なわけだが……だって幽霊なんか見えないし。 「自分と同じものが見えてたら信用する」  異主、指...

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隣の芝生は青い

 今時どこにでも転がっていそうで、でもそうそうないようで……。  やっぱりある複雑な家庭事情の人の話はよく聞かされる。  フリーター時代に知り合ったブッチは不憫な子だった。  ブッチの母親が...

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賛否の齟齬

 変な時間に寝て、起きてする人間だから、おかしな時間に食事を取る。  学生の下校時間にブチ当たって、合間をぬうようにフラフラと近所のホカ弁に足を向けていた。  落とし物——。一瞬、お守りに見えたそ...

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空のカケラを伝染し取る

 カシャ、カシャと音が聞こえる。  スマホで写真を撮っている音だ。  音の"源"をフワフワと探っていて、お召し物はミリタリー柄で揃えた高校生ぐらいの男女数人が目に入った。自撮りしているようだ。顔に...

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パラレル鉄道の旅

 やることのないときはどうするか?  一人暮らしの知り合い宅に転がり込んでゴロゴロするのが一番だ。  男三人、ワンルームで空き缶とテレビを見つめて口の端々から好き好きにこぼれる言葉は、会話になって...

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同胞認定

 飲み会まがいで知り合ったナミさんは複雑なお人だった。  当時でアラフィフだったが、とてもそうは見えないお綺麗な方で既婚者だった。 「私が彼氏いる理由分かった?」  僕の隣にいた彼女は、そう言っ...

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初耳です初見です

 幽霊は見えないが、オーラが見えるという女の子がいた。  知り合いの当時の彼女で、チエちゃんという非常に献身的で明るい人だった。  僕はてっきりスピリチュアルな人だとばかり思っていたが、そうで...

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人生バンザイ

 僕は人の笑顔というものに慣れていない。  訝しげな視線やなにか得体の知れないものを見るような目には慣れっこだが、ニッコリ微笑まれるとどうも苦手だ。  今から騙しにかかるぞといわんばかりの企みの表...

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一会の宴一期の怨

 寝ても覚めてもそのことばかり。  あぁ、愛し狂おしきかな、あの薄桃色のアホ面……  街中で偶然目にしたウーパールーパーちゃんに一目惚れして悩んでいた時期があった。  世話が追いつくだろうか...

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砂鉄に磁石

 道路の右手側に一件のコンビニがある。  少し進んだ先、今度は左手側に同系列のコンビニがまた一件。  こんな光景を、目にしたことのある人もいるかと思う。  二店舗とも同じ経営者だったりするが、経...

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ホウチペッパー

 お盆が近づき思い出したことがある。  異主や指輪で書いた店長が赴任してくる前。同じ店で、店長がまだ前任の人だったころの話だ。 「今日は早く帰ろう」  数人で閉店作業をしていたら、店長が珍し...

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事情通

 なにもテレビで流すわけでなし、BPOもPTAも僕には関係ない。  散々、不謹慎なことを書き散らかして今さら感はなはだしいが、事件やなんやでアレな話。  以前に書いたアレやコレやで、僕は転生につい...

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相席食堂

 テレビの裏ネジを電動ドライバーでひたすら締めるという、地獄の単純作業で日銭を稼いでいたときだ。  就業先の工場で、半ばアイドル化している女性がいた。  色白ムチムチ、若くてオッパイも大きいとあら...

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パレード

 具体的な理由もなく、早く大人になりたいと思っていた。  大人になると、なんとなく歳をとりたくないと思うようになった。  なんの仕事だったか忘れたが、初出勤を終えた帰り。  バイクにまたがり信号...

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事前講習

 僕の見る夢は、たいがいが意味不明で不鮮明。断片的にしか、その内容を覚えてはいない。  そんな中で、二度、三度見たことのあるような気がする夢がある。    *  葬式で焼香を上げるときに...

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緊縛祀り上げの法

 大手飲食チェーン店や小売業の店長職というのは異動がつきものだ。  僕があるところで働いていたとき、長い間、新任店長と顔を合わせるタイミングがなかった。 「君、大丈夫?」  はじめましてに、返っ...

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夢の中へ

 人が死ぬと、なんにせよ生きているものが動かなくてはならない。 「絶対に土葬で」  法律で禁止されてなお、僕の母の実家付近では頑なにそう希望する年寄り連中があとを絶たない。  その土地、土地の根...

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好奇心は猫が殺すか?

 もう何年前か忘れた。同級生の女の子が自殺した。飛び降りだった。  中学生の終わりに同じクラスだったことは覚えている。ほとんど登校しない、あまりいい噂を聞かない部類の人間だった。  夢を見たのは、...

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原発怪談 番外編

 ヤマダさんは僕を原発の世界へ引っ張り込んだ張本人だった。  元自衛官で、それからは一般社会に馴染めず職を転々としているうちに鬱になった王道パターン。  いわゆるボーダー気質で境界性は元より、自己...

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原発怪談 其ノ三

 日本の原発は世界最高峰の警備レベルを誇る場所――と、されている。  実際の内情はご想像にお任せするとして、僕がメインで仕事をしていた原発は全国的に見てもちょっと特殊で複雑な構造をしているところだっ...

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ホールの向こうはナンデスカ?

 穴があれば入りたい。挿れたい。  なぜ、あのときあの穴に挿れ……入らなかったのだろうと思う。違う世界が開けたハズなのに。  僕がまだ幼稚園に上がるか上がらないかぐらいのころ、母と近所の公園で...

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ピーピーおじさん

 僕が小学生のころ、「ピーピーおじさん」と呼ばれる地元でちょっとした有名人がいた。  おじさんと言っても、もうおじいさんに近かった。  その正体は学童擁護員で、いわゆる緑のおばさんの男バージョン。...

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お供養催促

 運転免許を取り立てのころ、練習がてら母と祖母を乗せ三重県をドライブしていた。 「伊勢街道に行こう」  母の提案を受けてよく知らない道を走った帰り、「長野トンネル」に差しかかる。  新トンネ...

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呪い代行

Unknown...

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消えた花嫁

「本日籍入れました」  人が、ブルブル猛威を奮うスギ花粉に悶えているところへけったくそ悪いご報告をくれたのはササキだった。  当時、仲の良かったグループのうち二人が同時期に結婚を決めていて、片方の...

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