ホールの向こうはナンデスカ?

「知らない人についていってはダメ」
 それだけ言い残して、母は一緒にきた公園から突然どこかへ消えた。
 仕方なく一人砂場で遊んでいると、声をかけられた。
 同い年か少し年上に見えた。男の子だった。
「落とし穴作ろう」

 一通り掘り終えたあと、どこから持ってきたの穴の上に新聞紙を被せる。
「こうやって上に乗せて、その上からまた砂かけるんだよ。そしたらバレない」
 言った直後に遊び相手はお迎えがきて去った。

 落とし穴と自分が公園に残され、自分に迎えはまだこない。
 ――落とし穴を見る。
 落とし穴に片手を突っ込んだ。

 瞬間――
 シュッ、と新聞紙が引っ込み、土の重みで穴に吸い込まれて、
 ――空だった。
 カラではなく、ソラ。
 砂はハラハラと落ちて、気ままに漂う新聞紙の行方を目で追っているとやがては消えた。
 怒鳴り声がする――
 振り返ると母が立っていた。
「勝手に出て行ったらダメでしょ!」

 どうやらこちらが一人勝手ここへきたと言いたいらしい口ぶりだった。

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某

ヤレバデキルコモドキ科。口は災いの元が学べない。
某

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