ダウジング

 実家近くの急な坂道を上がってすぐにあったそいつは、「幽霊屋敷」と呼ばれていた。

 固く閉ざされた観音開きの大きな扉、敷地内を隠し持つような高い壁、銛状に先の尖った囲いとそれらに絡みつくツタ……
 周りはあり触れた民家の中で、それは洋風ロマン溢れた一種異様な雰囲気を悪びれもせず晒している空き家だった。

「あそこは、かつて戦時中の療養所だった」
「世を捨てたさる血筋の人物が住んでいた」

 そんな噂も確固たるソースはない。幽霊を見たという話も聞いたことがない。

   *

 大人になって、その屋敷跡がまだ更地だったころ。
 近くを通って甲高い声援が聞こえてきた。子供たちがキャッ、キャッ言いながらなにやらやっている。
 一人が中心になって、輪を作るようにほかの子たちが覗き込んでいた。妙に気になって行き先を変える――
 それとなしそばへと近づいた。

 つまんだ糸に通した鉛のような円形のものをグルグルと回して遊んでいる。フーチを使ったダウジングに思えた。
 後で調べると、ペンデュラム・ダウジングもしくはラジエスセシアと呼ばれる種類に該当する。
「ここ、凄いね~」
 気づけば立ち止まって凝視していた。子供たちを。
 おもしろいようにグルグル回っている。円形の道具が。
「イッパイいるー」
 道具を持っている子が意図的に回しているとも思ったが、どうも様子が違う。
 糸をつまんでいる手も指先も動いていないのに、あれだけ規則的に激しく回転することなどあり得ない。

 なにを探していたんだろう?

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某

ヤレバデキルコモドキ科。口は災いの元が学べない。
某

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