欲張りな結果

 夜寝る前、部屋にコップ一杯の水を置いておく。

 朝起きたときにコップの水が減っていれば、その部屋にはいい霊がいる。
 逆にコップの水が増えて溢れていたら、悪い霊がいる。
 こんな話を知人のヤマザキから聞いた。
 いい霊はそこに留まろうと水を欲するという寸法らしいが、

「なぜ、悪霊は水を増やすのか?」
「悪霊は水なしに留まれるのか?」
「もし水が減ってこぼれていたら?」

 そんな疑問は、「知らん」と一蹴された。
 自分では怖くてよくよくできないからやってみてくれと言うヤマザキには悪いが、残念ながら試す気にはなれない。

   *

 ある朝、先祖の墓参りへきていてふと気づくと取り換えたばかりのコップの水が減っていた。
 ……確実に八分目まで入れたはずだ。半量ほどになっている。

 家に帰り、寝る前にコップ一杯の水をテーブルへ置いた。
 ヤマザキの話を試してみる気になったのかもしれない。

   *

 数時間後にふっ、と目を覚ますと、もう外は暗くなり出していた。すぐにテーブルへ目を向ける。
 コップは見事、空になっていた。
 水は……全てテーブルにこぼれている。
 どう解釈していいのか分からない結果だった。コップは――倒れることなく立っていた。

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某

ヤレバデキルコモドキ科。口は災いの元が学べない。
某

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