おかしな家

さんとこお坊さんきます?」
 そう聞いてきたのはコウタだった。
「僕の近所、昔からお坊さんが周ってくるんですよ。うちの近くだけかなあと思って」
 托鉢にでもきてるんじゃないの? 言ったがコウタはなにやらうなって、
「どうも最近、僕の家と隣の隣しか周ってないような気がするんですよ」

 少し不気味なことを言うなと思った。
「それでね。どうもその坊さん”この辺で二件だけおかしな家がある”って言ってるらしいんですよ」
 風が冷たい。
「なんか鬼門がどうの……でも、構造がおかしいってのはあるかもしれないです」
 子供部屋の無理やりな間仕切りに始まって、同居する祖母のためにバリアフリー化……
 色々とその場その場で手を加えていった結果、収拾がつかなくなった。建築的観点から見てもおかしなことになったらしい。
 複雑化しすぎて、簡単にココだけを直す、というわけにはいかないようだ。
「玄関入ってすぐど真ん中に階段あるんですよ。それがダメみたいなこと言われたことがあるらしくて」
 なにか聞いたことのあるような話だった。
「たまに弟子みたいなの引き連れて”アー”だの”オー”だの、でっかい声上げてお祈りするんですよ。怖くないですか? かなり気色悪いんですよ、まあ昼間だからいいんですけど」
 吸い殻を踏み付けて、ごく最近では風呂場がおかしいと言われ出していることをコウタは明かした。
――お風呂も構造がおかしいの?
 自分で言って、自分の声に少し驚いてしまうおかしみがあった。
 コウタはかぶりを振って、
「でも、僕のおばあちゃん、お風呂で死んでるんですよ」

 それから怖くてお風呂、夜に入れないんですよねえ……

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某

ヤレバデキルコモドキ科。口は災いの元が学べない。
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