百聞は一見にしかず

 学校、職場、施設……どんな場所でも多かれ、少なかれ霊的な噂というのは立つ。  色鮮やかに盛られ、尾ひれまでつくと相応のおどろおどろしいものとなるが、たいがいの場合において酒の肴で終わり。  だが...

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片思いのキャラクターに宿る

 霊が視えるタイプの晋さんは、新宿区荒木町で働いている。  職場の近くには有名なキャラクターショップがあった。 「……いるんです、そこに。  駅とは逆方向なんで、普段はそっちに行かないんですけど...

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学校の怪談

 今時の学生さんの間で「学校の七不思議」はあるのだろうか。  ゆとり0.5世代の僕らの時代にはあった。  未だに「君の存在は、この会社の七不思議の一つだよ」なんてお褒めにあずかったりもする。 「...

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晴男

 僕は第一印象が悪い。なにやっても悪い。なにもしていないのに悪い。  だから面接の類はまず落ちる。受かったのなんて、新卒のときと人の紹介ぐらいだ。あと派遣とバイト。  採用されないことを分かってい...

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向日葵の日

 三十代前半の桜井さんはつい最近、長年飼っていた猫を病気で亡くしている。  この辛さは筆舌に尽くし難い、という。  何ヶ月経とうがその痛みは変わらない。  にゃーと鳴いた声。瞳。布団で感じる...

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相席食堂

 テレビの裏ネジを電動ドライバーでひたすら締めるという、地獄の単純作業で日銭を稼いでいたときだ。  就業先の工場で、半ばアイドル化している女性がいた。  色白ムチムチ、若くてオッパイも大きいとあら...

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「冥福祈られちゃってるよー」

 久保谷真美は今年で二十五歳。事務職。笑うと歯列矯正中のワイヤーが見える。  2chで体験談を投稿することが趣味だという。  ほぼ全てが強姦の体験談だった。 「ただレイプされるのは私じゃないの。...

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パレード

 具体的な理由もなく、早く大人になりたいと思っていた。  大人になると、なんとなく歳をとりたくないと思うようになった。  なんの仕事だったか忘れたが、初出勤を終えた帰り。  バイクにまたがり信号...

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助けてもらえなかったら、楽しく人生を送ることもできなかった

 今は東京でモデル事務所に所属する比屋根さんは、東北地方の田舎の出身だ。  彼女は一度だけ霊体験があるという。  ストーカーや交通事故などの怖い体験は他にもあるが、霊と思わしき体験はその一度だけだ...

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賢明な判断

 異主で書いた店長で、もう一つ話がある。  もう五年は彼女がいないと、ある日店長が嘆いていた。  そこまで年収があるわけではなかったが、ブチャイクなわけではない。  各地を転々とする職だから、出...

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通い猫

 本山さんが中学生だった頃の話だ。  当時裕福ではなかった本山さんは一家でアパートの一階に住んでいた。  2017年現在よりも野良猫や野良犬の多かった時代。  彼女が住むアパートの裏手にある駐車...

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アブダクトちゃん

 未確認飛行物体は、全てU.F.Oになる。  屁理屈コネ回す天邪鬼なら「UFOを信じますか? 」と問われて、信じますと前置きしたあげくそんなことを言うだろう。 「UFO見たことある?」  急にそ...

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男は黙ってテレパシー

 あまりに強い思いというのは、なにかしら現象を起こすのかもしれない。  強い思いを残して死に行く者が現世を彷徨う霊となる、という考もあるようだ。  強く念じることはテレパシーのように通じるかもしれ...

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舐めすぎじゃない?

 パァーン――鼓膜を殴りつけるような音に宮野は我に返ったそうだ。  見回すと、自分が赤信号の青梅街道のド真ん中にいることを知った。  訳がわからなかった。  四車線の大道路。  宮野が立つ車線...

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おやつの時間

 ある日、用事で最寄駅から終点まで行かねばならず、電車に乗っていた。  時間もあったので鈍行(各駅停車)に揺られ、のんびりと普段あまり見ない各々の駅を眺める。  通勤ラッシュも引けた時間帯で急ぎの...

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後ろから捕まえるように

 大学時代からの友人である佑介は、赤坂にある映像制作会社に勤めている。  現在はプロデューサーまで昇進したが、数年前までは現場でがむしゃらに身体を動かしていた。 「番組で使うからさぁ、下の奴にポラ...

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見初められて

 実家に帰省したときだ。  と、いうよりは用事があったので、日中におもむいただけだが。  当時、実家からそれほど離れていないところで暮らしていて、メインの移動手段は原付だった。  実家へ向かう道...

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幼少期の記憶

 岡崎さんは幼少期、放火したという。  だが、夢に近い曖昧な記憶だった。  脳裏に残っている光景は、マッチを擦って、通学路にあるガレージに放置されてあった新聞紙に火をつけるシーン。  しかし親御...

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差再異議あり

 何度、数を数えても合わない。誰しもそんな経験があるかと思う。  もうそこそこいい歳だったか、とち狂って同窓会もどきの寄り合いに顔を出して後悔していた。  二次会、三次会ともなれば賢い女の子や、も...

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だれにもいえない

 もう二度と会わないことを条件に教えて頂いた話。  花中さんは彼女曰く「とんでもない田舎」出身だ。  北陸のとある地方。  町名はあるが、規模は「町」と名乗るにはあまりにも寂れている。 『集落...

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U.F.Oの作り方

 勤め先だったとある店で、閉店後にゴミをまとめていた。  もうシャッターを閉めた店の入り口で一人作業していて、気配を感じて振り返る。若い男性が一人立っていた。ワカメみたいな頭だ。  なにやら言...

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多田さん

 多田さんは二年後に実姉を殺害すると決めているという。  理由は飼い犬の命名権だそうだ。

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アイニキタヨ

 とある飲食店で、小遣い稼ぎをしていたときのことだ。  僕は、深夜に出勤し三時間ほど閉店後の後片付けや一部の開店準備を行うだけの存在だった。実質、「お店」とはあまり関わりがない。  ある日、ヤナギ...

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ガチ霊道

 フリーターである春田さんは以前コンビニでバイトをしていた。  八王子駅からはやや離れた、さほど大きくない交差点にあったそのコンビニでは怪異現象としか呼べないものが頻繁に起きていたという。 ...

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事前講習

 僕の見る夢は、たいがいが意味不明で不鮮明。断片的にしか、その内容を覚えてはいない。  そんな中で、二度、三度見たことのあるような気がする夢がある。    *  葬式で焼香を上げるときに...

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道了堂跡

 八王子は鑓水にある大塚山公園。  心霊スポットとして有名な道了堂跡はそこの頂上にある。  近隣で働く、三十代の女性であるAさんから人づてに渡されたメモ。 『絹の道 かいだんのぼるのが正ルー...

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緊縛祀り上げの法

 大手飲食チェーン店や小売業の店長職というのは異動がつきものだ。  僕が京都で働いていたとき、長い間、新任店長と顔を合わせるタイミングがなかった。 「キミ、大丈夫?」  はじめましてに、返ってき...

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しゅぽぽさん

 コピー機の保守点検を生業とされる冨田さんが、新宿駅は京王線ホームにて耳にした声かけ事案。  それは中年男性が、保護者と思わしき老夫婦と離れた未就学児に一方的に話しかける、会話とは呼べないものだった...

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アンバランス

 歳を重ねると弱くなる。年々、弱ってくる。もう虫の息。常におねむ。  あれだけ嫌がっていた病院にも、自ずから足を運ぶようになってしまう。  そのときは耐えられない高熱に、歩いて15分程度の病院へか...

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商法

 とある人には聞いた話。名は伏す。  本来『葬儀場』はお祓いをすべきだと、その人は主張する。  神奈川県西部の○○○という葬儀場はお祓いをしない。  オーナーがコストがかかることを嫌がるから、と...

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