賛否の齟齬

 変な時間に寝て、起きてする人間だから、おかしな時間に食事を取る。  学生の下校時間にブチ当たって、合間をぬうようにフラフラと近所のホカ弁に足を向けていた。  落とし物——  一瞬、お守りに見え...

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旅する名刺

「つえの手を持つ所をはそん  ◽︎こまっています  至急 作ってもらえませんか」  わけの分からないお願いを頂戴したのは、自宅マンションの駐輪場でのことだった。  出勤しようとバイクにまたが...

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悪魔の証明

「チーズフォンデュは悪魔の食べ物だ」  トンデモな主張をして来たのは、知り合いのムラカミだった。  ワキガの味がしてカレーパンは食べれないという人間に出会ったことはあるが、悪魔の食べ物とはこれいか...

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パラレル鉄道の旅

 やることのないときはどうするか?  一人暮らしの知り合い宅に転がり込んでゴロゴロするのが一番だ。  男三人、ワンルームで空き缶とテレビを見つめて口の端々から好き好きにこぼれる言葉は、会話になって...

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同胞認定

 飲み会まがいで知り合ったナミさんは複雑なお人だった。  当時でアラフィフだったが、とてもそうは見えないお綺麗な方で既婚者だった。 「私が彼氏いる理由分かった?」  僕の隣にいた彼女は、そう言っ...

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ニの轍降らず

「頭上禁止」  ある日、当時住んでいた自宅マンションの廊下でおかしな貼紙を見た。  共用部の廊下の壁に貼られたそれは、手前で右に曲がってすぐの部屋に住む僕には、わざわざ確認しなければいけないものだ...

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お相手いらぬお客様

 なにかおかしな夢を見た。  分かりやすい怖い夢でなかったことは覚えている。が、どうも起きてからもやもやとしてどこか気分が悪いのを引きずる感じだった。  顔だけ洗って乱暴にカギ束を掴み家を出る。時...

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対峙で退治

 学生を終えるか終えないかのころだ。  正月で母の実家に家族揃って帰省した際、仏間で一人寝ていて見事にうなされた。  よく覚えていないが、なにか恐ろしい夢を見て飛び起きる。シバシバする目をこすろう...

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心療内科で見かけた母子

 祥子さんが不眠で心療内科に通っていた時のこと。  診療を終えた祥子さんは混み合う待合室で会計を待っていた。  すると隣に同じように診療が終わったのか、三十代ほどの男性とその母親らしき人が腰か...

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初耳です初見です

 幽霊は見えないが、オーラが見えるという女の子がいた。  知り合いの当時の彼女で、チエちゃんという非常に献身的で明るい人だった。  僕はてっきりスピリチュアルな人だとばかり思っていたが、そうで...

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人生バンザイ

 僕は人の笑顔というものに慣れていない。  訝しげな視線やなにか得体の知れないものを見るような目には慣れっこだが、ニッコリ微笑まれるとどうも苦手だ。  今から騙しにかかるぞといわんばかりの企みの表...

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ベッドと壁との隙間

 村橋さんが自室のベットで寝転びながら、当サイト「人から聞いた怖い話」を閲覧していたときの話だ。  ゴロゴロと寝返りをうっていると、ベッドと壁との隙間の方向からいきなり髪を引っ張られた。 (――え...

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挨拶は大事

 僕は知らない人によく挨拶をされる。  すれ違いで深い意味なく交わされる会釈や人違いの話ではない。  僕の目つきが悪過ぎて、ついつい頭を下げられてしまった場合でもない。  ただ、そんなときはよく...

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ざんない三昧

 団子、饅頭、おにぎり、マシュマロ、ゆで玉子、ご利益のない大仏、縁起でもない福助、誤解招き猫、ラリパッパ星人etc……  よくぞまあ、人様を好き勝手呼んでくれるものだと思う。最後の方なんか、もはやあ...

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童貞

 竹田さんが安アパートに住んでいたときの話。  土曜日の夕暮れになると、決まって隣の部屋からセックス音が聞こえる。  当初感じた興奮も時間とともに、憂鬱に変わっていった。  ――うるさい。  ...

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覗き

 母の実家に帰省したときのことだ。  突然の大雪に足止めされて日帰りのつもりだったが、急遽、一泊することになった。  それはいいが、晩飯を平らげたあとに贅沢した一本を最後でタバコを切らしてしまった...

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見たくない?見られたくない?

 タバコを切らして、寝起きに近所の自販機まで買いに出かけたときだ。夜も遅かった。  いざ自販機の前まできて、タスポを忘れたことに気づく。それも、すでに大量の十円玉を投入したあとのことだった。  当...

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池干し

 その公園の池は、水を抜いて天日に干していた。  粕谷さんが通りかかったとき、池の底には巨大な眼が映っていたという。  眼はじろりと粕谷さんを睨みゆっくりと消えた。 「なにか良くないことが起きる...

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体験学習

 今、生きている世界とほぼ同じだが、別の次元があると聞いた。  一説には、その世界から"こちら"に迷い込んだ自分がドッペルゲンガーの正体だとかなんだとか……    *  名前も分からぬ鳥...

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一会の宴一期の怨

 寝ても覚めてもそのことばかり。  あぁ、愛し狂おしきかな、あの薄桃色のアホ面……  街中で偶然目にしたウーパールーパーちゃんに一目惚れして悩んでいた時期があった。  世話が追いつくだろうか...

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イヤホン越しに

 ポッドキャストを聴きながらの帰り道。 「最近、ダイエットがてら一駅歩いて帰っているんだよ。残業で夜遅くなった日も……」  いつものルートを歩いていると公園にさしかかる。  通り抜けようとすると...

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砂鉄に磁石

 道路の右手側に一件のコンビニがある。  少し進んだ先、今度は左手側に同系列のコンビニがまた一件。  こんな光景を、目にしたことのある人もいるかと思う。  二店舗とも同じ経営者だったりするが、経...

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狐の子

 僕は昔から怖がりのクセに、怖いものを見たがった。 「あなたの知らない世界って怖いけど見てしまってたよね~」なんて他愛もない話をイタクラさんとしていた。仕事そっちのけで。その流れで僕の祖母がその昔、...

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下水口

 神田川沿いの歩道を歩いていたら下水口が目に入った。  80センチほどの直径の穴から、動物が顔を出しているように見えた。 (タヌキ?)  樽井さんは覗きこんだ。  タヌキではなかった。  瓜...

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少年となにか

 気、開運、法則、波動、チャネリング、パワースポット……  僕は、スピリチュアルな方面に関してあまり明るくない。  ただ思うところ、宇宙からのメッセージをダイレクトに受信しているような人に限って言...

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ホウチペッパー

 お盆が近づき思い出したことがある。  異主や指輪で書いた店長が赴任してくる前。同じ店で、店長がまだ前任の人だったころの話だ。 「今日は早く帰ろう」  数人で閉店作業をしていたら、店長が珍し...

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冬の季節

 冬が怖いと安子さんは言う。  中学校の下校時に迷子になったから、という理由だった。 「雪が降った日なの。十年に一度ってレベルの大雪。登校するときは『ちょっと積もってるなぁ』ってくらいだったの...

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事情通

 なにもテレビで流すわけでなし、BPOもPTAも僕には関係ない。  散々、不謹慎なを書き散らかして今さら感はなはだしいが、事件やなんやでアレな話。  以前に書いたアレやコレやで、僕は転生については...

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アンリーダブル

 駅の改札で人と待ち合わせをしていた。  時間は夕方の5時か6時ぐらいだったと思うので、まとまった人が小さな波を作っては改札を通り抜けていく。  迎えの車を待っているのか、改札を出てすぐに僕と...

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呼ばれた?

 未怜さんの家族は六人家族。両親と女四姉妹の三女。家族仲は昔から良いという。  彼女が中学二年のときだった。  ある晩、ラーメン食べに行くぞ、と父親が唐突に言った。  時刻は夜の十時すぎ。  ...

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