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あーおーいーさんみゃーくー♪

 久留さんは改札を出た時、傘を会社に忘れてきたことを思い出した。 (帰ったらすぐにお風呂だなぁ)  濡れることを覚悟した久留さんはコンビニで傘は求めず、アパートまで十分の帰路を歩き始めた。  鞄...

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ダルマ

 斉藤さんは大手建設会社(それはもう、私が逆立ちしたって入れない会社である)の経理部の一員だ。  幼馴染の紹介で知り合った彼女に携帯の番号を聞くが、彼女はガラケーもスマートフォンも持っていないという...

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誰も見えない

 関西地方の話である。  元から木谷は霊感体質だったそうだ。地元にいると、彼曰く「変なの」が見えてしまうのが嫌で、進学する大学は地元九州から離れ関西地方を目指した。  そんな木谷が大学生時代バイト...

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赤ちゃんの泣き声

 休日の夜、上山さんはスーパーの帰りだった。  住宅街を歩いていると赤ん坊の泣き声が聞こえた。  まるで熱いものを押し当てられているような泣き声だった。  ――虐待。  その二文字が上山さんの...

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後ろからつかまえるように

 大学時代からの友人である佑介は、赤坂にある映像制作会社に勤めている。  現在はプロデューサーまで昇進したが、数年前までは現場でがむしゃらに身体を動かしていた。 「番組で使うからさぁ、下の奴にポラ...

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眠る前にスマートフォンは開かない方がいい。

「昔は霊を呼ぶのにローソクを使っていたじゃない」  と森田さんは言う。 「最近は使わないですよねローソク」 「停電の時くらいよね。じゃあ現代でその代わりは? スマフォなのよ。寝る前にスマフォで何...

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屁こき男

 福地の地元では「屁こき男」と呼ばれる中年男性がいた。  その男はの身なりは汚く、一見して貧しいとわかるような格好だった。  もちろん周囲の住民は姿を見れば近づかないが、男はコンビニで列に並んでい...

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線を何度も重ねた丸

横溝さんが帰路についていたときだ。 歩道に黒くて丸い影があった。 街灯を遮るものはその道では今までなかったので、最初は水溜りかと思ったそうだ。 目を凝らしながら近づくと、丸い影の中に、子供が...

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営業先の田舎

 生涯で一、二を争う便意だったという。  最悪なことに、営業先でコンビニやパチンコの類は一切見当たらない。  それどころかシャッター商店街で、空いている店がない。  畠山さんはようやく見つけたお...

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LINE

 久方ぶりにLINEを確認すると、「知り合いかも?」の欄に、イスラム圏の女性だと思われるアカウントが、二十はくだらない数が表示された。  全員の名前は読めず、全員の顔は布で隠れていて見えない。  ...

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『ソレ』

 土橋さんが以前住んでいたアパートは十畳ほどの1R。  部屋には本がいっぱいで、近いうちに引っ越したいと考えていたそうだ。  土橋さんが得体の知らない、呼び方も分からない、『ソレ』としか言いようの...

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河原にて

 柳中君は川の音を録音したことがある。  小田急線で新宿から一時間ほどかかる、とある川で録った。  せせらぎに混じり、 「かえりたいかえりたいかえりたいかえりたいやめてやめてやめてもうやだもうや...

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インターネット怪談朗読

 水橋さんは中学生の娘さんがいる。  昨年の夏休みの話だ。  夕飯を終えた娘さんはリビングに置いてあるパソコンでYoutubeを開いた。  そこから流れる音楽を聴きながら水橋さんは後片付けを始め...

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可愛い女の子

 友人の石田の紹介で会った、白川さんは可愛らしい女の子だった。  この時、私は『怖い話』を求めていない。  それどころか異性に敬遠されがちなこの趣味は口に出していない。  たわいのない話を聴きな...

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部屋の模様替え

 新しく冷蔵庫を買った槍村さんが、もののついでと模様替えをし始めたという。  ベッドを動かした際、重い埃にまみれる、干からびた子猫が見つかった。  胴体にはダニのような白い虫がびっしりと覆い、黄色...

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ゴミ捨て場にて

 中野の焼き鳥屋で知り合った、浜山さんから聞いた話だ。  浜山さんは現在単身赴任で東京に住んでいるそうだ。 「一人暮らしは大変だろ、洗濯もしなきゃ溜まってくし、誰かと話したかったらこうやって外に出...

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柊鰯

 一晩泊まった山本さんが彼氏のアパートから出た時、奇妙なものを見かけたという。 「枯れた葉っぱと、枝に刺さった魚の頭が飾ってあったの。何あれ、おまじない?」  それは柊鰯ですよ、と私は教えてあげた...

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洗濯干し

 松井は参っていた。  彼は喫煙者ではあるが部屋の中では吸わない。ベランダで吸う。隣近所の迷惑になることは一切考慮しない。 「斜め上の住人がよ、夜中によぉ、ずっと洗濯物干してやがんだよぉ……ほんと...

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自販機の当たり

 和田はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の熱心なユーザーだ。  TwitterからFacebook、mixi(こちらは既に更新していないが)Tumblrなど、合わせて5つものサービス...

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漫画喫茶

「最近のオススメはかぐや様は告らせたいですね、まだ五巻しか出てないですけど面白いですよ」  広沢君は大の漫画好きだ。  私も漫画は好きな方なのでよくオススメ本を尋ねる。  広沢君の蔵書は、それは...

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泥酔したあげく……

 上田さんは酒癖が悪い。  泥酔したあげく学生集団にケンカを売ったり、ナンパとすら呼べない女性への声かけなど日常茶飯事だ。  二度ほどうんざりした記憶があるので、私は上田さんと飲むときは早々に帰る...

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ラーメン

 営業先のとあるエリアで、一仕事を終えた小池さんは腹ペコだった。  小池さんはいわゆる『ラヲタ』ラーメンオタクだった。  週末になると遠方まで出向いて話題のラーメン店を訪問する。  今まで食べた...

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通夜の案内看板

 連休をゲームに費やしていた辰村さんが丸一日ぶりに外に出ると、コンビニに行く途中に通夜の案内看板が設置されていた。 「○○家は……」  近所に葬儀ホールはない。  二年住むが今まで見たこ...

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一緒に撮った、ツーショット写真

 矢作さんが彼氏と一緒に撮った、ツーショット写真。  寄せ合った肩と肩の間に、どす黒い赤ん坊の首がはさまっていた。  問い詰めると、彼氏は三年前の交際相手に堕ろさせたことがあるそうだ。  それを...

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社員旅行で長野のコテージに泊まった時のこと

 藤井さんが社員旅行で長野のコテージに泊まった時のことだ。  飲み会も途中で切り上げ、一人部屋で横になっていたそうだ。  部屋は二階で、窓からは田んぼしか見えない。  翌朝に出される絞りたての牛...

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以来、道案内は二度としない。

 三河さんは学生時の夏休み、お婆さんに道を尋ねられた。  人の良い三河さんはいいですよと答え、お婆さんの突き出したメモに書かれた住所を確認した。  この道をまっすぐ歩いて信号を右に曲がって……三河...

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しょうゆ顔、ソース顔……

 茶沢さんが子供の頃の話だ  まだしょうゆ顔、ソース顔という言葉が死語でなかった時代。  ちなみにしょうゆ顔とは、あっさりとした顔だちのこと。  ソース顔とは彫りが深く、目鼻立ちがはっきりとした...

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高架下で道を塞ぐ女

 高野が高円寺でバイトを終え、自転車で隣駅の阿佐ヶ谷に帰っている時だった。  高架下の道を一直線に走っていると、中央に女が立ち尽くしていた。 「なんですか?」  一瞬勤める飲食店のお客さんかと思...

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にゃんこがきたよ

怖い話ではない。不思議な猫にまつわる話。 本人の強い希望により記す。 内海さんは小学校二年生から六年生までの間、猫を飼っていた。 黒い猫のジジ。 母親の知人が家の事情で飼えなくなり、引き取...

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当方の立場。

 怖い話を蒐集していると、怪奇相談所のような存在に思われる。  しかし私は寺生まれでも霊感があるわけでもない。  ただ怪奇な現象を蒐集し、窓辺に飾った工芸品のように眺めているだけだ。 「これ...

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