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全国のタカシさんへ

 ※石野という苗字は仮名である。  真夜中。  石野タカシさんは寝入りばなに、酔っ払いの奇声を聞く。それにまぎれて細い笛のような音が聞こえる。  ――――――シ――。  ――カ――シ―――...

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ずっとずっと愛してる

 その年の秋は暖かだった。  ほがらかな陽気の日が続く、まるで時間さえもゆっくり過ぎていくような秋だった。  週末になれば公園を散歩してチョコを齧りあった。写真を撮って笑いあった。  弥太郎さん...

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七日連続で道を尋ねられている

 後輩の女の子は七日連続で道を尋ねられているという。 「尋ねやすい顔ってあるよね」  と私が言うと彼女は不服そうな表情を浮かべた。  七日すべてが霊園への行き方を尋ねるものだったそうだ。  お...

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心霊写真 三題

 赤石さんが友人の結婚式で撮った写真には、瑕が二つある。  大学からずっと親友グループだった新婦とミキちゃん。  二人は高砂前でニッコリと笑っている。  だがミキちゃんの双眸がぽっかり抉られ...

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最後の電話

「最初は誰だか判らなくて……」  六年前に別れた彼からの、電話だった。  金田さんは結婚して三年になる。 「直接は言ってなかったけど、共通の知り合いから伝わってるはずなのよ、もちろん」  ――...

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私の話

 私は大学卒業後もしばらくモラトリアム期間を延長することに決めていた。  何をおいても最優先にしなければならない就職活動も、到底やる気が起きず、買ってもいない宝くじが当たることを夢想する日々だった。...

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よいお年を

 大晦日。  北野さんは今年届いた年賀状のせいで、落ち着かない一年を過ごしていた。  結果として彼女は悲惨な目にはあわずに済んだ。  しかし何をするにも注意深く行動した一年だったという。 ...

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座敷わらし

 平井さんは八年勤めた制作会社を辞め、フリーランスのデザイナーとして働いている。  去年の秋から冬にかけてのことだ。 「本家のじいさまがいよいよ危ないってんで、親に呼び出されたんだ」  場所は東...

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中央線にて、立川から新宿方面に乗っている時。

 太郎君が中央線にて、立川から新宿方面に乗っている時。  時刻は十九時前だった。  席はちょうど埋まっており、太郎君はドア前のバーを掴みながら電車に揺られていた。  隣に立つは大学生くらいの...

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マサさん

 マサさんは唐突に実母から三ヶ月前まで不倫をしていたと告白された。  当時、彼のお母さんは五十八歳。  相手は近所のコンビニの店長だったという。  しかしそのコンビニは二年前に経営不振から閉店し...

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ハーゲンダッツのナッツが入ったアイス

 北上さんは学生の頃から社会人一年生にかけて付き合っていた彼がいた。 「うちの学科で一番センスが良かったの。服装も音楽も。私は田舎者だったから垢抜けてる彼が眩しく見えたの」  同じ学科に元カノが二...

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激安五十分八千円

 小暮は六年前まで風俗狂いだった。  給料の大半を個室ヘル○・ピンサ○・出張ヘル○に注ぎ込んでいた。  会社員になりたての頃、先輩に風俗を教えられてから一気にのめり込んだという。 「女いなかった...

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コンビニ

 平河さんは視える人だ。  彼女の近所には最近、オシャレなイタリアンバルができた。  お店はビルの一階に入っており、二階から最上階まではアパートとなっていた。  安価な上にメニューは本格的。駅か...

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長い台詞

 エイジさんは言う。 「パソコンから寝息が聞こえてる気がするんだよねえ。もちろん俺は大人だからそれが気のせいだ幻聴だってわかってるんだよ。空耳アワーにあるようにさ、人間は聞こえた音を自分で勝手に解釈...

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最低の飯

「怖い話はないけど、今まで口にした最低の飯の話でいいか?」  小川は今まで口にした最低最悪のものを簡単に説明した。  それは駅前の喫煙所に生えていたシロツメグサを、スーパーでタダで貰ってきた牛脂八...

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長風呂

「東京のなにが嫌って、お風呂が狭いとこよ。七万円もかかるマンションなのにユニットバスなのよ。地元だったら3LKDにだって住めるのに」  杉浦さんは大のお風呂好きだ。 「デトックスっていうか、体内の...

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小学校教師

 福島県の郡山市で小学校教師をされている伊上さんから聞いた話。  伊上さんが長年働く小学校でも、学校にまつわる七不思議の話しはもちろんあったそうだ。  夜中に動く標本、段数が変わる階段、音楽室でひ...

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東中野

「ほら新しくアトレ出来たでしょ? あの前あたりに」  宮本さんが乗り換えの為、東中野駅を通りがった時だ。 「路上ライブをしている人がいたの。アコースティックギターで」  せかせかと歩く宮本さんの...

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あなたは強い子立派な子

 ありがちな話ではあるが辻クンが中学三年生の頃、クラスでイジメがあった。 ターゲットは朝比奈麗子(無論、仮名)という可憐な名前を持つが、地味でどちらかといえば不潔な女子だったという。  クラスの小...

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映画館 二題

 赤城が一人映画館に出向いたときのこと。  楽しみにしていた大作SF映画を鑑賞しながら、スクリーンの汚れが気になったそうだ。  白くぼうっと光る円状のものだった。  映画も終わり、画面が暗転...

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深夜の満員電車が趣味

 田邊さんは仕事一筋の中年男性。スーツがよく似合う。  酒も煙草もやらない。  唯一の趣味は、深夜の満員電車だ。人が多ければ多いほど格好のシチュエーションだ。  痴漢をする訳ではない。  人を...

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出遭う人

「ピンクなのよ、ピンク」  織田さんは学生の頃、友人たちと山奥の温泉街に旅行した。  旅館の周りを散策していると谷にかけられた吊り橋を見つけた。  渡りたくなるのが人の性である。  彼女たちは...

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インターネットの履歴

 一人っ子の井口さんはお盆の帰省時、両親が最近購入したパソコンの動作確認を頼まれた。  原因は単純にプログラム過多だったのでアンインストールで済んだ。  どうしたらこんなにインストールするのだろう...

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小規模なレンタルビデオ店

「霊なんてその時までは見たことなかったんですけど」  保科君は眉を顰めながら思い返した。  同じ大学の友人が辞めるということで、それを引き継ぐ形で保科君はレンタルビデオ店で働き始めた。  個人店...

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悲しい話

 高宮さんは幼少時、鬼に攫われたことがあるという。 「はい?」  私が笑って聞き返すと、彼女は黙ってシャツをめくり、臍を見せた。  臍には親指が三本入りそうな空洞があった。周りの肉は火傷跡のよう...

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小さいオッサン 二題

 安田さんが歌舞伎町の風林会館前を歩いている明け方。  酔っ払って寝転んでいるホストを熱心に見つめる、サラリーマンが立っていた。  安田さんもサラリーマンの視線の先を見ると、ホストの肩には顔を真っ...

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表札

「貴志って書いて『きし』って読む苗字。珍しいでしょう?」 山田さんは向かいのお宅のことを話してくれた。 「昨年引っ越してきたの。とっつきづらいお宅でねぇ。ご主人が無愛想なのよ。けれど、あの事件のと...

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ストーブ

 今は東京の量販店勤務の猪俣さんは学生の頃、東北在住だった。  アパートの部屋には石油ストーブがあり、基本的にそれで暖をとる。エアコンは使わない。  大学の新歓コンパを終え、酔っぱらって帰宅した猪...

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踊っていた。

 新宿駅。  草野が帰路にて小田急線南口を通りかかった時。  離れた位置からでも、隅の柱脇に女物の浴衣を着た人がいるのはわかった。 (花火の帰りかな?)  網笠を深く被り、その人は両手を頭上で...

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あーおーいーさんみゃーくー♪

 久留さんは改札を出た時、傘を会社に忘れてきたことを思い出した。 (帰ったらすぐにお風呂だなぁ)  濡れることを覚悟した久留さんはコンビニで傘は求めず、アパートまで十分の帰路を歩き始めた。  鞄...

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