伊勢神宮での不思議な話

【ハンドルネーム】
 pipikoo

【体験談】
小学生の時に体験した話。

当時、三重県某所に住んでいた私は、自転車で行ける距離に伊勢神宮がありました。
初詣や高校受験の合格祈願なんかをお参りにし、お世話になった記憶があります。

私たち家族がはじめて伊勢神宮を訪れたのは、兄の高校受験の合格祈願をしに行った時です。
自転車で行ける距離ではありましたがその日は雨で、父は車を出してくれました。
近くの駐車場に停めて早速中へ入っていくと、澄んだ空気を肺いっぱいに吸い込みました。
伊勢神宮は戦時中でも、政府があそこだけには爆撃しないでくれと言ったほど神聖な場所であるので、他と空気が違うのは当然なのかもしれません。

うろ覚えで、もうあれ以来そこへは足を運んでいないので神宮内がどんな感じだったかは曖昧ですが、石畳で滑りやすかったなあという印象です。

私は雨だと言うのに、案の定走り回って橋のところで滑って派手に転びました。
持っていた傘は遠くへ放り投げて、歩いてる大人たちはちらっと見るだけで声もかけてくれません。家族は私が走り出したことに気付かず、ずっと後ろを歩いていました。

痛いなあ、と思えば膝は擦りむいて血が出ているし、雨が打ち付けるせいでどんどん流れていきます。
そんな状況でもまだ泣かなかったのですが、さすがに大人の冷たい視線に耐えられず泣きそうになった時でした。

「転んだの?痛かったねえ」

優しい声が頭上から降ってきて、見上げた先にはおじいさんが立っていました。
私の視線に合わせるようにしゃがんでくれて、怪我した足にそっと触れました。

「もう走っちゃダメだよ」

その言葉を聞いた瞬間、膝の痛みが嘘のようになくなっていました。
あれ?と思い足を見ても傷は治っているし、きょろきょろと回りを見渡してもおじいさんの姿はもうありませんでした。
不思議なおじいさんだったなあ、と当時は曖昧に思っていましたが今考えると、そのおじいさんは傘も持っていなかったし、雨に打たれてもいませんでした。

あのおじいさんは何者だったのか分かりませんが、痛い重いから解放してくれたことにとても感謝しています。

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