
中央線にて、立川から新宿方面に乗っている時。
太郎君が中央線にて、立川から新宿方面に乗っている時。 時刻は十九時前だった。 席はちょうど埋まっており、太郎君はドア前のバーを掴みながら電車に揺られていた。 隣に立つは大学生くらいの...
中央線にて、立川から新宿方面に乗っている時。
太郎君が中央線にて、立川から新宿方面に乗っている時。 時刻は十九時前だった。 席はちょうど埋まっており、太郎君はドア前のバーを掴みながら電車に揺られていた。 隣に立つは大学生くらいの...
マサさん
マサさんは唐突に実母から三ヶ月前まで不倫をしていたと告白された。 当時、彼のお母さんは五十八歳。 相手は近所のコンビニの店長だったという。 しかしそのコンビニは二年前に経営不振から閉店し...
コンビニ
平河さんは視える人だ。 彼女の近所には最近、オシャレなイタリアンバルができた。 お店はビルの一階に入っており、二階から最上階まではアパートとなっていた。 安価な上にメニューは本格的。駅か...
長い台詞
エイジさんは言う。 「パソコンから寝息が聞こえてる気がするんだよねえ。もちろん俺は大人だからそれが気のせいだ幻聴だってわかってるんだよ。空耳アワーにあるようにさ、人間は聞こえた音を自分で勝手に解釈...
小学校教師
福島県の郡山市で小学校教師をされている伊上さんから聞いた話。 伊上さんが長年働く小学校でも、学校にまつわる七不思議の話しはもちろんあったそうだ。 夜中に動く標本、段数が変わる階段、音楽室でひ...
東中野
「ほら新しくアトレ出来たでしょ? あの前あたりに」 宮本さんが乗り換えの為、東中野駅を通りがった時だ。 「路上ライブをしている人がいたの。アコースティックギターで」 せかせかと歩く宮本さんの...
あなたは強い子立派な子
ありがちな話ではあるが辻クンが中学三年生の頃、クラスでイジメがあった。 ターゲットは朝比奈麗子(無論、仮名)という可憐な名前を持つが、地味でどちらかといえば不潔な女子だったという。 クラスの小...
映画館 二題
赤城が一人映画館に出向いたときのこと。 楽しみにしていた大作SF映画を鑑賞しながら、スクリーンの汚れが気になったそうだ。 白くぼうっと光る円状のものだった。 映画も終わり、画面が暗転...
出遭う人
「ピンクなのよ、ピンク」 織田さんは学生の頃、友人たちと山奥の温泉街に旅行した。 旅館の周りを散策していると谷にかけられた吊り橋を見つけた。 渡りたくなるのが人の性である。 彼女たちは...
インターネットの履歴
一人っ子の井口さんはお盆の帰省時、両親が最近購入したパソコンの動作確認を頼まれた。 原因は単純にプログラム過多だったのでアンインストールで済んだ。 どうしたらこんなにインストールするのだろう...
小規模なレンタルビデオ店
「霊なんてその時までは見たことなかったんですけど」 保科君は眉を顰めながら思い返した。 同じ大学の友人が辞めるということで、それを引き継ぐ形で保科君はレンタルビデオ店で働き始めた。 個人店...
表札
「貴志って書いて『きし』って読む苗字。珍しいでしょう?」 山田さんは向かいのお宅のことを話してくれた。 「昨年引っ越してきたの。とっつきづらいお宅でねぇ。ご主人が無愛想なのよ。けれど、あの事件のと...
踊っていた。
新宿駅。 草野が帰路にて小田急線南口を通りかかった時。 離れた位置からでも、隅の柱脇に女物の浴衣を着た人がいるのはわかった。 (花火の帰りかな?) 網笠を深く被り、その人は両手を頭上で...
あーおーいーさんみゃーくー♪
久留さんは改札を出た時、傘を会社に忘れてきたことを思い出した。 (帰ったらすぐにお風呂だなぁ) 濡れることを覚悟した久留さんはコンビニで傘は求めず、アパートまで十分の帰路を歩き始めた。 鞄...
ダルマ
斉藤さんは大手建設会社(それはもう、私が逆立ちしたって入れない会社である)の経理部の一員だ。 幼馴染の紹介で知り合った彼女に携帯の番号を聞くが、彼女はガラケーもスマートフォンも持っていないという...
誰も見えない
関西地方の話である。 元から木谷は霊感体質だったそうだ。地元にいると、彼曰く「変なの」が見えてしまうのが嫌で、進学する大学は地元九州から離れ関西地方を目指した。 そんな木谷が大学生時代バイト...
赤ちゃんの泣き声
休日の夜、上山さんはスーパーの帰りだった。 住宅街を歩いていると赤ん坊の泣き声が聞こえた。 まるで熱いものを押し当てられているような泣き声だった。 ――虐待。 その二文字が上山さんの...
後ろからつかまえるように
大学時代からの友人である佑介は、赤坂にある映像制作会社に勤めている。 現在はプロデューサーまで昇進したが、数年前までは現場でがむしゃらに身体を動かしていた。 「番組で使うからさぁ、下の奴にポラ...
眠る前にスマートフォンは開かない方がいい。
「昔は霊を呼ぶのにローソクを使っていたじゃない」 と森田さんは言う。 「最近は使わないですよねローソク」 「停電の時くらいよね。じゃあ現代でその代わりは? スマフォなのよ。寝る前にスマフォで何...
線を何度も重ねた丸
横溝さんが帰路についていたときだ。 歩道に黒くて丸い影があった。 街灯を遮るものはその道では今までなかったので、最初は水溜りかと思ったそうだ。 目を凝らしながら近づくと、丸い影の中に、子供が...
営業先の田舎
生涯で一、二を争う便意だったという。 最悪なことに、営業先でコンビニやパチンコの類は一切見当たらない。 それどころかシャッター商店街で、空いている店がない。 畠山さんはようやく見つけたお...
河原にて
柳中君は川の音を録音したことがある。 小田急線で新宿から一時間ほどかかる、とある川で録った。 せせらぎに混じり、 「かえりたいかえりたいかえりたいかえりたいやめてやめてやめてもうやだもうや...
柊鰯
一晩泊まった山本さんが彼氏のアパートから出た時、奇妙なものを見かけたという。 「枯れた葉っぱと、枝に刺さった魚の頭が飾ってあったの。何あれ、おまじない?」 それは柊鰯ですよ、と私は教えてあげた...
洗濯干し
松井は参っていた。 彼は喫煙者ではあるが部屋の中では吸わない。ベランダで吸う。隣近所の迷惑になることは一切考慮しない。 「斜め上の住人がよ、夜中によぉ、ずっと洗濯物干してやがんだよぉ……ほんと...
自販機の当たり
和田はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の熱心なユーザーだ。 TwitterからFacebook、mixi(こちらは既に更新していないが)Tumblrなど、合わせて5つものサービス...
漫画喫茶
「最近のオススメはかぐや様は告らせたいですね、まだ五巻しか出てないですけど面白いですよ」 広沢君は大の漫画好きだ。 私も漫画は好きな方なのでよくオススメ本を尋ねる。 広沢君の蔵書は、それは...
泥酔したあげく……
上田さんは酒癖が悪い。 泥酔したあげく学生集団にケンカを売ったり、ナンパとすら呼べない女性への声かけなど日常茶飯事だ。 二度ほどうんざりした記憶があるので、私は上田さんと飲むときは早々に帰る...
ラーメン
営業先のとあるエリアで、一仕事を終えた小池さんは腹ペコだった。 小池さんはいわゆる『ラヲタ』ラーメンオタクだった。 週末になると遠方まで出向いて話題のラーメン店を訪問する。 今まで食べた...
通夜の案内看板
連休をゲームに費やしていた辰村さんが丸一日ぶりに外に出ると、コンビニに行く途中に通夜の案内看板が設置されていた。 「○○家は……」 近所に葬儀ホールはない。 二年住むが今まで見たこ...
一緒に撮った、ツーショット写真
矢作さんが彼氏と一緒に撮った、ツーショット写真。 寄せ合った肩と肩の間に、どす黒い赤ん坊の首がはさまっていた。 問い詰めると、彼氏は三年前の交際相手に堕ろさせたことがあるそうだ。 それを...