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アンリーダブル

 駅の改札で人と待ち合わせをしていた。  時間は夕方の5時か6時ぐらいだったと思うので、まとまった人が小さな波を作っては改札を通り抜けていく。  迎えの車を待っているのか、改札を出てすぐに僕と...

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魔法のセクハラ

 フリーター時代、あるところで時期を同じくしたアキヤマさんは、いつもぼんやりしていた。  もう疎遠になって久しいが、ほかの従業員に話しかけられてもニコニコ笑っているだけで返答をしないことが多々あった...

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山彦山盛

 華の都へ繰り出したときだ。  ただの出張。オッサンと二人、一泊二日。  カプセルホテルかなんなら漫画喫茶でいいと思っていたが、当時の上司カネダさんが旅館がいいと言い出した。 「領収書は会社負担...

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血涙ちゃん

「あいつは、なにか変な宗教に入っている」  ある時期、冗談混じりに当時の同僚のそんな噂話を耳にした。  我が国では宗教の自由が認められている。  その噂が嘘であれ、真実であれ好きにすればいい。 ...

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百聞は一見にしかず

 学校、職場、施設……どんな場所でも多かれ、少なかれ霊的な噂というのは立つ。  色鮮やかに盛られ、尾ひれまでつくと相応のおどろおどろしいものとなるが、たいがいの場合において酒の肴で終わり。  だが...

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学校の怪談

 今時の学生さんの間で「学校の七不思議」はあるのだろうか。  ゆとり0.5世代の僕らの時代にはあった。  未だに「君の存在は、この会社の七不思議の一つだよ」なんてお褒めにあずかったりもする。 「...

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晴男

 僕は第一印象が悪い。なにやっても悪い。なにもしていないのに悪い。  だから面接の類はまず落ちる。受かったのなんて、新卒のときと人の紹介ぐらいだ。あと派遣とバイト。  採用されないことを分かってい...

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相席食堂

 テレビの裏ネジを電動ドライバーでひたすら締めるという、地獄の単純作業で日銭を稼いでいたときだ。  就業先の工場で、半ばアイドル化している女性がいた。  色白ムチムチ、若くてオッパイも大きいとあら...

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パレード

 具体的な理由もなく、早く大人になりたいと思っていた。  大人になると、なんとなく歳をとりたくないと思うようになった。  なんの仕事だったか忘れたが、初出勤を終えた帰り。  バイクにまたがり信号...

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賢明な判断

 異主で書いた店長で、もう一つ話がある。  もう五年は彼女がいないと、ある日店長が嘆いていた。  そこまで年収があるわけではなかったが、ブチャイクなわけではない。  各地を転々とする職だから、出...

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アブダクトちゃん

 未確認飛行物体は、全てU.F.Oになる。  屁理屈コネ回す天邪鬼なら「UFOを信じますか? 」と問われて、信じますと前置きしたあげくそんなことを言うだろう。 「UFO見たことある?」  急にそ...

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男は黙ってテレパシー

 あまりに強い思いというのは、なにかしら現象を起こすのかもしれない。  強い思いを残して死に行く者が現世を彷徨う霊となる、という考もあるようだ。  強く念じることはテレパシーのように通じるかもしれ...

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おやつの時間

 ある日、用事で最寄駅から終点まで行かねばならず、電車に乗っていた。  時間もあったので鈍行(各駅停車)に揺られ、のんびりと普段あまり見ない各々の駅を眺める。  通勤ラッシュも引けた時間帯で急ぎの...

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見初められて

 実家に帰省したときだ。  と、いうよりは用事があったので、日中におもむいただけだが。  当時、実家からそれほど離れていないところで暮らしていて、メインの移動手段は原付だった。  実家へ向かう道...

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差再異議あり

 何度、数を数えても合わない。誰しもそんな経験があるかと思う。  もうそこそこいい歳だったか、とち狂って同窓会もどきの寄り合いに顔を出して後悔していた。  二次会、三次会ともなれば賢い女の子や、も...

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U.F.Oの作り方

 勤め先だったとある店で、閉店後にゴミをまとめていた。  もうシャッターを閉めた店の入り口で一人作業していて、気配を感じて振り返る。若い男性が一人立っていた。ワカメみたいな頭だ。  なにやら言...

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アイニキタヨ

 とある飲食店で、小遣い稼ぎをしていたときのことだ。  僕は、深夜に出勤し三時間ほど閉店後の後片付けや一部の開店準備を行うだけの存在だった。実質、「お店」とはあまり関わりがない。  ある日、ヤナギ...

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事前講習

 僕の見る夢は、たいがいが意味不明で不鮮明。断片的にしか、その内容を覚えてはいない。  そんな中で、二度、三度見たことのあるような気がする夢がある。    *  葬式で焼香を上げるときに...

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緊縛祀り上げの法

 大手飲食チェーン店や小売業の店長職というのは異動がつきものだ。  僕が京都で働いていたとき、長い間、新任店長と顔を合わせるタイミングがなかった。 「キミ、大丈夫?」  はじめましてに、返ってき...

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アンバランス

 歳を重ねると弱くなる。年々、弱ってくる。もう虫の息。常におねむ。  あれだけ嫌がっていた病院にも、自ずから足を運ぶようになってしまう。  そのときは耐えられない高熱に、歩いて15分程度の病院へか...

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性悪は誰の仕業?

 僕の周りは、姉さん女房をもらった人も多い。  良妻賢母な素晴らしい女性から、まるで少女のような、ずっと女の子のままで、なにがなんでも女です、永遠の1○歳とやらまで色とりどり。  で、旦那の友達と...

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頼りなくて足る

 世間様が、正月気分に浮き足立つある年の暮れ。  もはやタコ部屋に近いところで、出稼ぎしていた。 「10の成功で得た信頼も1の失敗で失うからな」  どこかで誰かに言われて覚えたのか、偉そうにこん...

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占い師のつくり方

 よく当たる占い師。  電話のみの受付で……  普段は専業主婦をする普通の人で……  財界の大物や政界の要人、セレブなあの人からヤクザなその人まで噂がつきまとうかの人——  是非、一度お目...

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ミドリマン

 子供のころというのは、不可思議な体験を多くする。  記憶は曲がっているのかもしれない。なにしろ古いうえに、そもそもが頼りない時期だ。でも、不思議と鮮明に覚えていたりもする。  幼稚園の年中か...

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夢の中へ

 人が死ぬと、なんにせよ生きているものが動かなくてはならない。 「絶対に土葬で」  法律で禁止されてなお、僕の母の実家付近では頑なにそう希望する年寄り連中があとを絶たない。  その土地、土地の根...

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好奇心は猫が殺すか?

 もう何年前か忘れた。同級生の女の子が自殺した。飛び降りだった。  中学生の終わりに同じクラスだったことは覚えている。ほとんど登校しない、あまりいい噂を聞かない部類の人間だった。  夢を見たのは、...

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原発怪談 其ノ四

 原発の夜は静まり返っている。  ほとんどの出入り業者は夕方には引き上げていくから人気がない。  夜霧がかった原子炉はどこか不気味で、無味な、彼自身にはなんら意思のない、見るものが勝手に様々を抱く...

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原発怪談 番外編

 ヤマダさんは僕を原発の世界へ引っ張り込んだ張本人だった。  元自衛官で、それからは一般社会に馴染めず職を転々としているうちに鬱になった王道パターン。  いわゆるボーダー気質で境界性は元より、自己...

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原発怪談 其ノ三

 日本の原発は世界最高峰の警備レベルを誇る場所——と、されている。  実情はご想像にお任せするとして、僕がメインで仕事をしていた原発は全国的に見てもちょっと特殊で複雑な構造をしているところだった。 ...

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原発怪談 其ノ二

 原発でそういう噂は立たないのかと聞かれると、むしろ宝庫だったりする。  気性の荒いドカチン同士の小競り合いが事務所襲撃→発砲沙汰に発展したり、それが全く表沙汰にならない別の意味の怖……うん。あくま...

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