鰻弁当

 二年前。夏。
 釜田とはポスティングのバイトで一緒になった。
 素寒貧だった私と釜田は、東新宿の事務所近くの、異常な安さを誇るスーパーで弁当を買っていた。
 その日も、私は六十円のオニギリを二つと五十円のパンを、釜田は二百二十円の半額弁当を買った。
「鰻って足、生えてる?」
「馬鹿か」
「ほら、見てよ。ここ」
 タレで茶色に染まり波打った肉から、茹でた海老のような赤さの足が一本、生えていた。
 指で触れると、ぷちんとはじけ、茶色い液体を弁当内にぶちまけた。虫を潰したときのような匂いが鼻を衝いた。
 それから鰻は専門店でしか食べないことに決めている。

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別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。

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