犬の糞害に悩んでいた葉山さんは、決まって糞をされる、家のすぐ目の前の電柱に張り紙をした。
「農薬散布中! ワンちゃん近づけないで」
それらしく見えるよう小麦粉を撒いた。
翌朝、電柱の前には犬の死骸が二体横たわっていた。
一匹はべろんと舌を伸ばしたパピヨンで、もう一匹は死んでからしばらくは経つようで、頬がでろでろに溶けており、きつい腐敗臭がした。
どちらも自然死には見えず、当然葉山さんが毒薬を撒いたわけでもなく。
犬の死骸の横には一枚の紙。
『ゴメンんなさい、もうオロかなワタシタチ、散歩 しな いワン』