霊感の強い黒田君は事故現場にあるような献花が大の苦手だという。
ほらたまに見るじゃないすか。ちっちゃい子が轢かれて死んじゃった場所とかに。いや、お供え物する気持ちはすげーわかるんすよ。
好きだったジュースとかお菓子あげたくなる気持ちはわかるんすよ。
ただ……事故起こった場所って、たいがいよく起こす場所じゃないすか。見晴らしが悪かったり、飛び出しが起きやすい場所だったり。その時死んだ子だけじゃなくて、過去に何人も事故死してるせいで――。
浮遊霊いっぱいなんですよ、あの手の場所って。成仏してない、餓鬼みたいなやつらが、うじゃうじゃと。
霊感の強い黒田君は目にする。
逝ってしまった小さな子に対しての花や、お菓子が、醜い餓鬼たちが触りまくりベトベトになっていく様を。
工場の油に似た黒い汚れが、弔い花の花弁に付着し、次第に腐らさせていく無残な様を。