どうして。

 そのとき星野さんは翌日の予定を考えていた。
 午前中は定期の申請をして、昼休憩時には銀行に行かなくては。
 深夜だった。
 毎週木曜のお決まりのゴミ出しに、星野さんはほぼ無意識に玄関ドアを開けた。
 いつものことすぎて、いつもより暗いことに違和感を抱くことに数瞬遅れた。
 廊下の照明を遮る――影。
 ガツッと耳の辺りに衝撃が走ったのはそのときだった。
 影の手に金槌のようなものがあった。
 訳もわからず倒れる瞬間、期限をとうに切れている卵が割れないかが心配だった。

 二ヶ月の入院後、星野さんの右脚には麻痺が残った。
「なんで私、って何回も何回も考えた」
 犯人はまだ捕まっていないという。

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別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。

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