とあるファミレス

 ふと目に入ったレジの女性は、死んだ目をしていた。
 団体の高校生の個別会計をやらされているのか……と同情したが、よくよく見るとちょっと違う。
 塩津さんが違和感に目を凝らすと、レジには誰もいなかったという。

「そのときは見間違いかな……って思ったけど、見間違いなんかじゃなかったよ、全然。レジに行ったとき……」
 レジを担当する男性にぼんやりと重なって、今しがた目にしたはずの女性がうつろな瞳を浮かべていた。
 女性は半透明だった。
 人外だ、とすぐに塩津さんは気づいたが……、
「帰りに、その女性を――こっちは生きてる方ね、ホールで見かけたの。あぁレジにいるのは生き霊なんだぁって気づいて、気づいて……帰り道は憂鬱な気分になっちゃった」
 生き霊になるほど据えられるような職場なんて、ろくな働き先じゃないわよ、と塩津さんは言う。
「あんな有様じゃ仮に死んだってあそこに出勤するわよ、彼女」
 その女性はお客を案内するとき、空しくなるほど感情のこもっていない声だったという。

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別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。

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