「冥福祈られちゃってるよー」

 久保谷真美は今年で二十五歳。事務職。笑うと歯列矯正中のワイヤーが見える。
 2chで体験談を投稿することが趣味だという。
 ほぼ全てが強姦の体験談だった。
「ただレイプされるのは私じゃないの。私の友達や姉がレイプされて堕ちていくっていう設定なのね」
 久保谷は一人っ子だった。
「嘘話ってこと?」
「そう。けど嘘だなんて調べようがないじゃん」
 久保谷が言うにはどんな稚拙な設定でも、信じ込んでくれる層は一定数いるそうだ。携帯小説の設定を丸パクリすることもあるという。
 一つだけ決まったルールがあった。
 登場する(つまり悲惨な目に遭う)女性の名前は、学生時代に彼女をイジメていた連中の名前を使用する。
「自分の名前って検索するもんでしょ? 自分と同じ名前がレイプされる話見て、どんな思いしてくれるかなぁって想像するのが好き」
 そのうちの一つは、私も見たことがあった。
「一番の醍醐味はね……話の中で殺したりするでしょ。例えば山田花子ちゃんがレイプされた結果病んじゃって……風俗に堕ちてクスリにハマって死んだ、とか。そうするとね、みーんな言ってくれるの。『山田花子ちゃんのご冥福をお祈りします』って」
 冥福祈られちゃってるよーと久保谷はケラケラ笑った。

※文中の『山田花子』に限らず、登場する全ての名前は仮名です。

The following two tabs change content below.

別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。