幼少期の記憶

 岡崎さんは幼少期、放火したという。
 だが、夢に近い曖昧な記憶だった。
 脳裏に残っている光景は、マッチを擦って、通学路にあるガレージに放置されてあった新聞紙に火をつけるシーン。
 しかし親御さんはそんな事件はないと繰り返し教えたそうだ。
 記憶を辿ろうとすると、子供の「ママ熱い」という泣き声が蘇り、そこでいつも途切れるという。
「図書館で当時の新聞を調べることは?」
 という私の勧めに、岡崎さんは激しく首を振った。
「今さら事実を知りたくありません」
 だそうである。

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別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。

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