ナベやん。その3

 私の友人でナベやんという男がいる。
 彼は自分では認めないが、はたから見ていると、どうにも心霊の類に好かれる性質であり怖い実体験の話題は事欠かない。

 ナベやんが自室で深夜ドラマを見ている時のことだ。
 某男性アイドルグループの誰かが出演しているドラマだったそうだ。
 ぼんやりとドラマを眺めていたナベやんの視線は止まった。
 主演男優が自室で一人苦悩する、ありがちなシーンだった。見たところで翌日には綺麗さっぱり忘れているような凡庸なシーン。
 男の後ろに、モザイクがかかっている女がいた。切断されたように腹から下は無かった。
(この女は何かの伏線だろうか)
 不思議に思い、見つめているが、そのドラマが終わるまで一切そのモザイクがかかった女性の存在には触れられなかった。
 意味がわからなかったという。

 その後どれだけネット検索をしたところで、そのことについて言及している情報は拾えなかったそうだ。
「ああいうのなんやろうなぁ、俺だけが見えてんのかなぁ」
 私はナベやんに「今後ドラマを見る時は録画をしといてくれ」とお願いをしている。
 ただたぶん私には見えないという予感もある。

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別府

管理人です。世間一般で言う、いわゆる恥知らずです。

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