彼氏からライン

 直実さんが最近始めた仕事の職場は彼氏が住むアパートの近くだった。
 そのことを告げると彼は「俺仕事だからいないけど、昼休みとか好きな時間に使いなよ」と合鍵を渡してくれたという。
だがその頃には彼氏への愛情も醒めていたので、アパートを利用することをはなかったという。
「変に勘違いされたくないっていうか……ちょっと距離置きたかったの。他に気になる人もできちゃって」

 仕事の初日の夜、彼からラインが届いた。
<部屋掃除してくれてありがとう>
 直実さんは訳もわからず、行ってないよ、とだけ返したという。
 だが翌日以降も彼からのラインは途絶えなかった。
「なんか気持ち悪くなっちゃって……」
 もう無理、とだけ返信して彼からのラインをブロックしたという。
 結局新しい職場も短期間で辞めることとなり、以来彼のアパートには近づいていない。
「しばらくしたら……三ヶ月くらいかな? 流石に人として冷たすぎたかなぁって思って、ブロックを解除したのね。また話せるようになれればいいなって思って」
 ラインのブロックを解除し、件の彼のライントークを見た。
 ブロックをしていたためそれまで内容はわからなかったが、解除するまでの間に、彼は何通もメッセージを送っていた。
<無理って。全然大丈夫だよ>
<おーい>
<もーツンデレなんだからなーもー>
<トマト食べた? 美味しかったでしょ^^>
<歯ブラシ俺の使ったでしょ^^; 今度買っておくね>
<カレー、うんめーかったよ☆(ゝω・)v>
 何通も届いていた。
 もちろん直実さんに彼の部屋の掃除はやっていない。皿洗いもしていない。ちょっとした料理を冷蔵庫にも入れていない。ドライヤーも歯ブラシも使っていない。

 なんだかよくわからないけれど、とっても気持ちが悪い。
 と直実さんいう。
 当然再びブロックをしたそうだ。

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別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。

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