手形

 高校時代、万引きが日課だった酒井さんは当時手にした窃盗品(彼曰く戦果)の大半を封も空けず実家の屋根裏に仕舞いこんでいたという。漫画やアクセサリーの類だったが到底使いきれないほどの数があったという。
 昨年、両親の事故死により実家の荷物を整理していた最中、酒井さんは件の戦果が入っている段ボールを開けた。
 全ての商品に『誰かの手』にしか見えない形で、黴が生えていたという。
「湿気とかであんな形なるんかな? ともかく気味わりぃもんを長年家に仕舞っておいたと思うと、すげぇ気分悪くてなぁ」
 酒井さんは今年四十三歳。小学生のお子さんが二人いるが虫も殺せないほど優しい子たちだという。

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別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。