絶交

 菅原さんは以前勤めていた職場に仲の良い同僚がいた。友人と呼んでも差し支えない二歳年上の女性だった。
 職場が倒産し(小さい編集プロダクションだった)次の勤め先はバラバラになったものの仲は変わらずだった。
 だが菅原さんはある日友人との連絡を一切絶った。
 同業ゆえの気軽さで、仕事を振る約束をしていたというのに、一方的に連絡を無視したという。
 きっかけは夢だったが、それを契機として菅原さんは日々夢想にするようになった。
 夢の内容は四肢を失った友人を愛撫するものだったという。
 
 件の友人とは一度駅で遭遇した。菅原さんに気づいた友人は、当然じっと非難めいた視線を送ってきたが、それを菅原さんは無視した。そして自分の選択が間違っていないことを知った。
 見つめられている間、欲望に心が焼き尽くされそうになったという。
 
 菅原さんのルックスは、流行をキチンと意識したファッションの(それゆえにどこにでも見かける)普通に可愛いらしい女性である。彼女の暝い欲望を知っている人間は私だけである。

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別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。