子供のころ 三題

 「備某録」管理人:円満ゑび寿氏より聞いた話。
 
 清水さんが幼少時、飼っていたハムスターが妊娠した。
 父親から「何匹産まれると思う?」と聞かれた清水さんは、目の前のハムスターをじっと見つめたのち「三匹」と答えた。
 二週間ほどで産まれた赤ちゃんは、その通り三匹だったという。

 お母さんハムスターにの頭上に、三つの淡い光が漂っていた様を、大人になってからも清水さんは覚えている。

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 桶井さんは五歳の頃、ボーリングの球ほどある大きさのダンゴムシを見たという。
 それだけなら子供にありがちな空想と現実の混濁と説明がつくのだが、彼女の母親もそれを目撃していた。
 父親や周囲の人に母娘揃って説明したので(無論得られた反応はクールなものだったが)間違いないと桶井さんは今でも考えている。
 だが桶井さんが高校にあがるころになると、母親はそのダンゴムシの話をなぜか忘れていた。
 いくら話しても、露ほども憶えていなかったという

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 梁さんは母親が再婚するまで貧乏暮らしだった。
 六畳二間の家賃一万五千円という異様に安いアパートに、小学三年生まで住んでいた。当然低所得層が住むアパートだった。
「子供心に変だなぁ変だなぁって思ってたけど……」
 そのアパートでは夕方になるときまって、住人全員が、部屋の表札を隠していたという。
「あれは何の為だったのか……理由は最後まで聞けずじまいで、お袋は逝っちゃったよ」 
 ただ何度も何度も念入りに「名を知られたいけんけん」と注意されたことだけは覚えているという。

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別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。

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