鎮座していた

  祥太さんは昨年の盆、帰省中の弟から「俺は霊見たことあるんだ」と告白されたという。
 場所は二人が酒を呑んでいるリビング。時期は十年前。
 弟がテレビを見ていたときだ。
 なんとなくテレビから視線を外すと、真っ白な服で長髪の女性が鎮座していた。
「オウム真理教の爆弾で捕まった女の人みたいだったよ」
 思考が停止し、テレビに視線を戻した。
<あれ?>
 見返すと女はいなかったという。

 弟の話を聞きながら祥太さんは唾を飲み込んだ。
「なぁその女の出た場所、いっせいに指すぞ」
 二人の指した場所は一緒だった。部屋の玄関側の左隅だった。
 過去に祥太さんも全く同じ女を実家で目撃していた。女がよほど似ていたのか祥太さん自身も「オウム真理教の女の人っぽい」と思ったという。無論今まで家族に話したことはなかった。
 それからは、実家のリビングが怖い。

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別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。

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