エイプリルフールネタ

 これからする話はエイプリルフールらしく嘘である。嘘の話である。斎藤さんという男性は存在しないし、私が聞いた話ではない。ゆえに聞き手である私が通報すべき案件ではない。
 斎藤さんは三年前、都内のある繁華街で目撃した。

 ●●●町の裏路地。
 なぜ彼がビルとビルの狭間にいたのか理由は伏す。
 ビルには風俗店が入っていることで有名だった。主に待機所として用いられていた。
 配電盤には「立ち入った奴壊します」と張り紙があったという。
 所狭しと置かれてある室外機の下に、斎藤さんは手を突っ込んだ。
 とある品物がそこに隠してあるはずだった。
 お目当てのものを回収したのち、斎藤さんはかがみ込んだ。
 取りこぼしがないかの一応の確認だった。
 小箱があったという。
 ――これはきっと他の購入者の分に違いない。
 ――何か事情があって取りにこられないのだろう。間抜けな奴だ。
 ラッキーだと斎藤さんは思った。
 やや重みのある箱を、胸をときめかせながら開けた。
 
 暗がりの中、携帯電話の灯りで中身を照らす。
 干物のように見えたがよくよく目を凝らすと、人のカタチに見えた。
「あ」
 気づきと同時に声が出る。
 干からびた嬰児だった。
 箱に無理やり入れたせいか全体が潰されているが、左腕が欠損しているが、両脚がともに曲がっているが、死んだ赤ん坊に見えたという。
 フタを閉めようとした際に、フタの裏に書かれてある文字を見つけた。
<このこのおとうさん、世田谷区のおとうさん。それかさい玉のおとうさん。むかえ来てくれなかった。いのり殺す>

 もちろん斎藤さんは警察に届け出なかった。
 たぶん今も小箱は●●●町のビルとビルの隙間に放置されているんじゃないかな、と斎藤さんは言う。

※初掲載日2016年4月1日

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別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。

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