夏休みの夜更かし

 前田君が高校生の頃。
 夏休みが始まったばかりの夜、ちょうど今晩のような熱帯夜、彼は実家の部屋でクーラーをがんがんに効かせて毛布にくるまっていた。
 両親もとうに床につき、起きているのは前田君のみ。
 手にはスマートフォン。読み進めるは怪談サイト。
 身震いを楽しみながらスクロールしていると、毛布がぽっかりと浮いた。
 視線を胸元にうつすと、眼球と舌が膨れあがる女がいた。前田を見つめていた。
<ばかながき>
 甲高く嗤ってから女は消えたという。

 その晩、前田君は両親の横で眠ったそうだ。

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別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。

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