奇奇怪怪

 中田さんはその時暇つぶしにグルメ情報誌を読むともなく眺めていた。
 ぺらぺらとめくる。
 情報が脳に届くまで、理解できるまで三十秒ほどかかった。
 ありえないページ。
 64ページ。
 腹を裂かれ、叫んだまま絶命した犬の写真に、「老舗にしか出せない美味。味蕾を心地よく刺激」とキャッチココピー。
 中田さんは反射的にスマフォで写真を撮り、それから雑誌を閉じた。
 後でネットの反応を伺おうと思った。これは炎上してしかるべき事案だと思った。
 翌日、知人に見せようと雑誌を開いた。

 だが。
 確かにページにあったはずなのに、ない。
 確かに見たはずなのに、ない。
 写真も撮ったはずなのに、ない。

 誰かに教えたくともスマフォに残った写真はページのアップ、すなわち「グルメ情報誌」の一部とわかる情報はなかった。ただ犬の死骸に文章がついているだけの写真だ。
 試しに知人に見せたが、気味悪そうに中田さんを一瞥したという。 
 まるで中田さん自身がその写真を作成したとでも言うように。
「けど本当にあったんです。僕は作ってないんです。そんなことをするわけがない!」

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別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。