今も隙間にいる

 Aさんは所謂「視える人」だという。
 私はお名前も風貌もわからない。聞いた話から推測すると性別は女性で、年齢は四十代だと思われる。お住まいは青梅市近辺だろう。
 つまるところ「知り合いの知り合いの話」ということである。

 Aさんの家には箪笥と箪笥の隙間に男が挟まっているという。
 無論生者ではない。
 三センチほどしかない隙間に、男が窮屈そうに両腕をしっかり胴体にくっつけている。限界まですくめた肩に頭をのせている。
 男の表情は「ここはどこだろう?」と困惑しきった表情であるという。

 ソレは悪い霊、怖い霊ではないのか。
 そう尋ねられたAさんはこう仰ったという。
「顔を見れば怖い霊じゃないとわかるから。怖いのはすぐわかる。怖い霊は煤を塗ったみたいに真っ黒」

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別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。

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