一人暮らしの宮越さんは看護婦になってから三年目。板橋在住だった。過去形である。
不定期な勤務時間だったがやりがいはあったという。
夜勤明けの昼間、部屋に帰るとポストにメモが入ってあった。
なにか赤黒いものを擦り付けたような文字で「ノコリアト3ニチ」とあった。
宮越さんはそれが変色した血だとすぐにわかったという。
警察に訴えたが当然のように杜撰な対応だった。
二日後、部屋のドアの前に犬の生首が置かれてあったという。目は刳り抜かれ口は威嚇するように開いていた。憤怒、という表現がピッタリだったという首の下にはメモがあった。「アトイチニチ」。犬のものだろうと思われる歯がそこらに散らばっていた。
宮越さんはその日に引っ越し先を決め、荷物は全て業者に運んでもらった。それ以来二度とその地域に近づいていない。
犯人はまだ捕まっていないという。