映画の割引券を二枚送ってもらった

 母親から映画の割引券が二枚送ったと電話があった。
 彼氏と見にいきなさい、ひいては早く結婚相手を紹介しなさい、そんな無言のプレッシャーだ。
 だが割引がきく映画館は都内とはいえ微妙に遠かった。
「ジブリの映画を見るために一時間も電車に揺られる気はないの、しかも一人で」
と沖さんは仰る。
 Webプロデューサーとして多忙の日々を送る沖さんは二ヶ月ほど封筒を放置していたそうだ。
 久しぶりの休日、アパートの掃除をしていると各種請求書に埋まった封筒を見つけた。
 行く気は全くなく、ゴミとして捨てる予定だが一応封筒をあけた。そのままの形で捨てるにはさすがに忍びなかった。
 割引券は入っていなかった。
 中身は呪詛の手紙と火にあぶられた髪の毛だった。
 三年前に、父親の浮気が発覚したことを沖さんは思い出す。
 手紙には「早く死んで早く死んで早く死んで」×30。丁寧な文字で書かれていた。疑いようもない母親の筆跡だった。

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別府

管理人です。ビックリしたときのリアクションは子供みたいです。